雑誌『WIRED』日本版 最新号VOL.40(3/13発売)特集「FOOD: re-generative」地球のためのガストロノミー

2021.03.08 - WIRED


『WIRED』日本版は、3月13日(土)に雑誌最新号VOL.40「FOOD: re-generative 地球のためのガストロノミー」を発売いたします。食べることで自然を再生し、生態系を拡張する ── そんな「リジェネラティヴな食」の新たな潮流を特集。いまやFarm to Table(農場から直接食卓へ)といわれる食の地産地消を進めるムーヴメントは、ちょっと気の利いたレストランならば当たり前に実践されています。しかし、地球に負荷をかけられない時代にあって、人々の胃袋が自然の恵みをこれまで以上に求める現状で、果たして78億の人類を食べさせていくことができるのでしょうか?

その回答が、食べることで自然に介入し、環境を再生していくような食の在り方です。これまでの“オーガニック”や地産地消を超えて、未来の食は、まるで地球を輪切りにしたように、皿の上に生態系すべてがのったものになるはずです。『美味礼賛』でブリア=サヴァランが描いたように、「ガストロノミー」の原義は消化器官(gastros)+社会規範(nomos)であり、わたしたちの胃袋には地球とつながり、壊れかけた現代の食のルールを変える力があります。来たるべきフードイノヴェイションの萌芽を一冊(プレート)に盛った総力特集。

ダン・バーバー、LURRA°、舩橋真俊、片野晃輔、丸 幸弘、樋口直哉、クラウス・ピヒラー、福田真嗣、デイヴィッド・モントゴメリー、 アラステア・フィリップ・ワイパー、柞刈湯葉、佐々木充彦、安藤徳隆、豊田啓介、倉田哲朗、水野 祐、川田十夢ほかが登場。

『WIRED』日本版 VOL.40「FOOD: re-generative」
CONTENTS

■ THE THIRD PLATE

「第三の皿」を求めて
ダン・バーバー
これからの“最高の一皿”とはどんなものだろう? 「 農場から食卓へ(Farm to Table)」というムーヴメントを牽引してきたシェフのダン・バーバーは、工業化された現代の典型的な食事や、そのカウンターである地産地消や有機を謳う料理に対して、第三の可能性、つまり食べることで生態系全体とつながり、自然を収奪するのではなく豊かにする一皿を追い求めている。未来の食が生まれる彼の厨房からのインタヴュー。


■ THE THIRD PLATE meets LURRA°
持続可能なガストロノミーの条件
京都の新鋭「LURRA°」が披露した「第三の皿」への回答
開業からたった一年でミシュランの一つ星を獲得した、京都の新鋭「LURRA°」。京都の伝統と革新、自然とのつながりが調和した料理を手がけてきた彼らが、このたび「第三の皿」にインスパイアされた料理を披露してくれた。LURRA°が考える、自然に寄り添うレストランの新しいかたち。


■ AUGMENTED ECOSYSTEMS SAVE THE HUMANS!
がんばれ人類! 拡張生態系から学ぶ、これからの生存の作法
舩橋真俊、片野晃輔
「食べる」ことで生態系を豊かにする。そう言われても、いまいちピンとこない。なので、ふたりの賢人に尋ねることにした。人間が生態系に介入し、生物多様性と食料生産の両立を実現する「協生農法」を実践してきた舩橋真俊、都市における「拡張生態系」の可能性を探索する片野晃輔。ふたりが織りなす、生態系におけるヒトの役割と生存の作法。


■  TAKE A HOLISTIC VIEW
循環せよ、回路を回せ
丸 幸弘による「巨視的/微視的フードテック論」
フードテックをマクロに捉えるなら、その射程は「太陽からウンチまで」。そんなパンチラインが、リバネス代表取締役グループCEO・丸 幸弘から飛び出した。「循環」を通奏低音に据え、炭素、窒素、シアノバクテリア、ATP、カニカマ……といったキーワードを織り交ぜつつ、フードテックをフリースタイルに、体系的に解きほぐす科学放談!


■ BY ANY NECESSARY SEEDS
農業の『未来創世記』
気候変動アクティヴィストのための、遺伝子とオーガニック再考
地球温暖化の主な原因とされる温室効果ガス。その総排出量の24%は農林業によるものだという。人類が気候変動に対処しつつ食糧不足に陥らないためには、いまやあらゆる手段を講じる必要に迫られているのだ。いまだ漠然とした不安が拭えない「遺伝子組み換え作物(GMO)」から環境再生型農業まで、地球にもよい農業の“種(ヒント)”を追いかけた。


■ A GLANCE AT THE PAST, A GLIMPSE OF THE FUTURE
キッチンツール史
道具からひもとく食の未来
熱源の変化、フッ素樹脂加工や恒温調理器といったキッチンツールの進歩によって料理(化学変化)はいかに進化したのか。その道具の変遷史をひもとくことで見えてくる食の現在位置と未来を、6つの切り口作家で料理家の樋口直哉に訊いた。


■ ONE THIRD
失われる「3分の1」
クラウス・ピヒラー
国連の推定によると、毎年世界では生産された食料の3分の1が廃棄されているという。オーストリアのフォトグラファー、クラウス・ピヒラーの「One Third」は、この問題を「腐っていく食品」で表現した作品だ。


■ DIVERSIFY “ YOUR” INNER CO-WORKERS
マイクロオーガニズム共生基礎ガイド2021
「腸内フローラ(腸内細菌叢)」がちょっとした流行になりはや数年。人体に築かれる微生物集団の働きが、第二のゲノム情報ともいうべき機能をもち、健康にも大きな影響を与えることが少しずつ明らかになってきた。過小評価されてきた微生物との共生関係は、いかに発展してゆくのか? 気候変動への鍵も握る微生物×食×自然環境の最前線を徹底調査!


■ Menu Dégustation
私家版:食トリヴィア50
空席待ちのない“三ツ星レストラン”へようこそ。ここではプラントベースの焼肉から宇宙のコーヒーまで、古今東西のあらゆる“珍味”を扱っている。未知なる知識に貪欲なグルメたちをうならせるような、刺激的かつ重厚な後味の続く至極のー品(ストーリー)が揃っているはずだ。『WIRED』日本版が自信をもってお贈りする知識人(シェフ)たちの“スペシャリテ”を、どうぞ、ごゆるりとご堪能あれ!


■ A SCENE FROM A SCI-FI FILM?
「未来の食」がプロトタイプされる実験室へ、ようこそ!
コペンハーゲン大学にある「Future Consumer Lab(未来の消費者研究所)」では、食にまつわる知覚や食感、香りや味に関する実験が日夜繰り広げられている。「美食の都」コペンハーゲンを拠点とする英国人写真家アラステア・フィリップ・ワイパーが捉えた、SF映画のワンシーンのような実験の風景。


■ FILLING THE VOID
無重力の食文化を創造する:「嘔吐彗星」から始まる火星の食卓
これまでの宇宙食は、宇宙飛行士たちに栄養を供給することを主眼に考えられてきた。しかし、宇宙の旅がより長く、より大所帯になるにつれ、人の胃袋だけでなく心も満たす宇宙食が必要とされるようになっていく。MITメディアラボの宇宙探査イニシアティヴが、「嘔吐彗星」(Vomit Comet)の異名をもつ軽減重力研究用航空機で実施している研究に密着した。


■ FROM THE SOIL TO THE MOON
土なき月の基地の土
柞刈湯葉
とある月面研究施設のトイレにはどうも幽霊が出るらしい。騒動のからくり、そしてその後に待つ顛末とは?「食」×「(微)生物」×「サイエンス」×「未来」をキーワードに短編を……という編集部からのユルいオーダーによもやの“トイレSF” を打ち返してきたSF 作家・柞刈湯葉。しかし一読すれば、その必然性に思わず納得!
乞うご期待。


■ BEYOND INSTANT FOODS
NISSINはなぜ「完全栄養食」を目指すのか?
カップヌードルという世界的イノヴェイションから50年。日清食品が完全栄養食の開発に挑んでいると聞き、『WIRED』日本版は早速同社を訪れた。しかし、出てきたのは何の変哲もないカレーとナポリタンとから揚げ……。いったい、どういうコンセプトなのだろうか。プロジェクトを牽引する代表取締役社長・安藤徳隆に訊いた。


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▶︎ EDITOR’S LETTER「地球のためのガストロノミー」

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雑誌『WIRED』日本版Vol40_プレスリリース_0308