『WIRED』日本版は、 3月14日(月)に最新号VOL.44 特集「Web3」を発売いたします。 Web3とは、 ブロックチェーンに基づく分散型のオンラインエコシステムのことで、 インターネットの次のフェーズを構想し、 社会のあり方さえも変える可能性がある一大ムーヴメントとして急速に注目を集めています。 シリコンヴァレーの超有名VCであるa16zが多額の投資をしていることでも知られる一方、 Twitter元CEOのジャック・ドーシーやTeslaのイーロン・マスクをはじめ、 このWeb3の真価を見極めようと慎重な立場のビッグプレイヤーとの間で議論が巻き起こるなど、 いまや次のイノヴェイションを準備する基盤としての「Web3」について世界中の関心が集まっています。
そのなかで『WIRED』日本版はこの度、 「Web3」を「所有」と「信頼」という重要なキーワードから改めて解き明かします。 Web3が目指すDAO(分散型自律組織)とは、 個人の自由と開かれた社会を実現するという、 インターネットの極初期から続く闘いの第三幕であり、 いまや話題のメタヴァースやNFTといったツールをも内包しながらその実現へと向かっています。 本特集では、 Web3の提唱者ギャヴィン・ウッドへのインタヴューをはじめ、 注目のクリエイターエコノミーや民主主義、 そしてウェルビーイングの未来をWeb3から展望する、 雑誌としてほかに類を見ない一冊まるごと「Web3」を総力特集した決定版となります。
ギャヴィン・ウッド、 武邑光裕、 北澤 直、 ジェシー・ウォールデン、 starRo、 落合渉悟、 北川拓也、 スコット・コミナーズ、 ジャド・エスバー、 コムギ、 津久井五月、 水野祐、 豊田啓介、 倉田哲郎、 川田十夢ほかが登場。
『WIRED』日本版 VOL.44「Web3」
CONTENTS
■ Editor’s Letter
Web3、 あるいは所有と信頼のゆくえ
■ TO BOLDLY GO WHERE NO ONE HAS GONE BEFORE
行く手に待つのは、 何色のフロンティア!?
通時性を弱体化させ、 共時性を爆発させたのがWeb2.0だとするならば、 いったいWeb3は何を加速させるエンジンになるのだろうか。 もしそれが「プロトコルによる再創造」なのだとしたら、 これから先、 どのような世界が待っているのだろうか。
■ LESS TRUST, MORE TRUTH
信頼(信仰)に代わる真実を
ギャヴィン・ウッドが描く、 自由へと続く航路
イーサリアムの共同創設者であり、 世界的なブロックチェーン開発企業を運営するギャヴィン・ウッド。 彼こそが「Web3」の提唱者にほかならない。 Web3を支える分散型のテクノロジーこそ、 いまの社会を取り巻く独占的支配から世界を解放する“一縷の望み”だと考えるそのヴィジョンの神髄に迫った。
■ CRYPTO MANDALA
“クリプト”をめぐる4つの概念図
法定通貨経済圏との分離、 DeFi(分散型金融)の登場、 トークンという概念の確立……と確実にステップを刻み、 NFTのブレイクによっていよいよマスアダプション期を迎えた暗号通貨の経済圏。 いま一度その概要をキチンと把握するべく、 Web3リサーチャーのコムギが「クリプトのツボ」を解説する!
■ Harmonizing with the Real World
野球カードとNFT
北澤 直
かつて大きなハッキング事件が起きた。 いまだ投機的なスキームだと思われているフシもある。 日本におけるクリプトエコノミーの立ち位置は、 まだまだ盤石とは言い難い。 だからこそ自分たちにはできることがあると、 Coinbase代表取締役の北澤直は考えている。 その目に映るクリプトの役割、 そして可能性とは?
■ MUSIC NFTs 101 FOR ARTISTS
「音楽の未来」を読み解くための3つのレッスン
ジェシー・ウォールデン/starRo
日夜登場するWeb3時代のツール群は、 ミュージシャンにとって“武器”になるのか? それとも、 プラットフォームによる搾取の歴史は繰り返されるのか? 常に先端テクノロジーの実験場であり続けた「音楽業界」はWeb3によってその勢力図が塗り替えられるかもしれない。 音楽業界の新しいランドスケープと、 その未来を読み解くための3つのレッスン。
■ DAO FOR NATIONS
22世紀の民主制
落合渉悟
ピーター・ティールいわく「自由と民主主義は両立しない」らしい。 そうした生粋のリバタリアンに倣って、 国家から脱出するのではなく、 この民主主義をブロックチェーンによって修復できないだろうか? 自治体機能が縮小していく未来を前にして、 ぼくらは「DAO」というツールに希望を託す。
■ TAKEMURA JUKU
特別講義!Web3の課題と個人主義の再解釈
武邑光裕
2015年からベルリンで7年間暮らし、 その間にGDPR(EU一般データ保護規則)の発効・適用を体験するなど、 ヨーロッパ流「個人主義」の本質を肌身で知るメディア美学者の武邑光裕。 彼の目に、 現在のWeb3を取り巻く狂騒はどう映っているのだろうか。 武邑が2013年から主宰する私塾「武邑塾」が、 『WIRED』日本版にて特別開講!
■ Web3 GLOSSARY A to Z
精選“ワ式”新用語集
変貌する世界を見据える100のキーワード
Web3の全体像を掴むには、 新出のキーワードを押さえておく必要がある。 今回、 『WIRED』日本版編集部が100のキーワードをピックアップ。 新たな世界を支える言葉の拡がりを知れば、 Web3の向かう先を知る手がかりにもなるかもしれない。
■ THE ESCAPIST FANTASY
遊びと労働のゆくえ
資本主義がのみ込むNFTゲーム
ブロックチェーンを基盤に、 ゲームと金融をかけ合わせたGameFiの市場が急拡大中だ。 なかでも「Play to Earn(プレイして稼ぐ)」型のゲームは、 プレイヤーに資本主義の純粋な悦びを与える一方で地球規模での新たな労働移動を生んでいる。 この潮流の行き着く先は、 希望か、 あるいは幻想か。
■ ACCELERATOR FOR THE WELLBEING SOCIETY
人類のウェルビーイングにはWeb3が必要だ
北川拓也 × スコット・コミナーズ × ジャド・エスバー
これまで「幸福」が客観的な指標でしか測られてこなかったとすれば、 Web3によって、 あなたの主観的なウェルビーイングの価値がやっと社会に実装される時代が到来するかもしれない ──そう語る北川拓也がハーヴァード大の同窓で「Web3」の気鋭の論客ふたりを迎え、 Web3×ウェルビーイングの可能性を大いに語る!
■ STORY 「HOTFIX ホットフィックス」
津久井五月
現実世界の物理法則を緻密にシミュレートした最初で最後の仮想世界ニュー・バベル。 20年前に起きた原因不明の災禍により、 現在は半ば廃棄されたその世界を調査しているコンスタント・エヌは、 ある日、 アスガーという人物と出会う。 彼はずっとニュー・バベルに留まり、 ギーという人物を探しているという。 アスガーは言う。 「ギーは絶対に信用ならないやつなんだ。 必ず見つけ出してやる」と──。 俊英・津久井五月が未来のメタヴァース空間を舞台に「信頼」と「不信」を描いた短編SF!
■ 人気コーナーと話題の連載も充実!
▶FETISH 生活に未来を実装せよ
▶【連載】NEW TRUST, NEW SOCIAL CONTRACT 水野祐が考える新しい社会契約 〔あるいはそれに代わる何か〕第9回 NFTの「準所有」と著作権の終わり(の始まり)
▶【連載】すすめ!! VIRTUAL CITIES INC.(仮)豊田啓介 × 倉田哲郎 第7回 匿名の空間と公共の必要性
▶【連載】Way Passed Future 川田十夢の「とっくの未来」 第21回 能と拡張現実
『WIRED』日本版 VOL.44
特集「Web3」
発売日:2022年3月14日(月)
価格:1,200円(税込)